2012/02/09

なぜ世界は不況に陥ったのか

1.サブプライムローンから信用危機へ
住宅バブルの崩壊は日本と同じ
日本とは異なり高度かつ複雑に発展していた重層的な市場型金融の仕組みの下で起きた
格付という市場の情報インフラが機能不全→クレジットクライシスへ拡大、市場そのものが機能停止に

2.アメリカ経済の30年
70年代~80年代初頭=スタグフレーション
80年代後半=経済再活性化、ケインズ経済学の権威失墜
85年から20年間=グレートモデレーション(大平穏期)、リスクへの感度が鈍くなった→金融危機を招いた背景
97年のアジア金融危機以降=東アジア諸国が外貨準備を増やし経常収支を黒字化→アメリカだけ赤字となるグローバルインバランスが急激に拡大→金融危機で縮小へ

3.金融の技術革新
80年代に入って資金余剰の時代に→伝統的な銀行業は不況産業化→投資銀行が成功、産業の構造改革に貢献→投資銀行がヘッジファンド化、大きなポジションを抱え、レバレッジをかけて高収益を狙う→金融危機につながる

4.金融危機の発現メカニズム
エージェンシー問題=他人資本で過度のリスクテイク
美人投票問題=戦略的な相互依存関係でファンダメンタルズと乖離した価格を形成
コーディネーションの失敗=アメリカでは今回、実質的に銀行取り付けと同じ現象が起こった

5.金融危機と経済政策
政府の失敗=行き過ぎた住宅政策、「政府やFEDが何とかしてくれる」という期待が民間のリスクテイクを過度に促進する結果に
古典派経済学にケインズ的要素を組み入れたモデルが主流に
不況はある種の「市場の失敗」
アメリカは非伝統的金融政策を実施→リスク資産購入の結果として量的緩和になるという信用に基づく緩和
インフレ目標政策は採用せず

6)危機後の金融と経済の行く末
投資銀行の役割は依然重要→事業会社の財務活動を支援
金融工学そのものが悪いのではなくユーザー側に問題
規制監督体制の見直し→情報インフラの再構築、エージェンシー問題のコントロール
グローバルインバランスは否応なく縮小→北米市場依存の輸出主導型経済成長は困難
短期間での構造調整は困難→その調整プロセスでは世界経済は縮小均衡に→マクロ政策で緩和が必要

7.1990年代の日本
失われた10年は通常の景気循環ではない→金融緩和だけで克服は無理→構造的問題の解決が不可避
日本は80年代にアメリカが行った宿題をいまだにやり残している
03年以降の景気回復は金融緩和と円安誘導による「輸出バブル」→金融危機で90年代の低成長路線に回帰
アメリカ経済を回復させたのは新興企業の資金調達を容易にした投資銀行
労働生産性の向上→労働市場の構造改革が不可避
産業間で物的・人的資本を移転させることが最も必要

■なぜ世界は不況に陥ったのか
これまでアメリカの高い期待成長率で世界の資本が集中
金融危機で資本が逃げ、アメリカは経常赤字を縮小へ
世界経済の不均衡是正=縮小均衡に
日本にとって財と資本を輸出する市場が縮小、円高ドル安に

2012/02/07

死ぬ前に語られる後悔

もし今日が人生最後の日だったら、あなたは後悔を口にしますか。それはどのようなものですか。
人生最後の時を過ごす患者たちの緩和ケアに数年携わった、オーストラリアの Bronnie Ware さん。彼女によると、死の間際に人間はしっかり人生を振り返るのだそうです。また、患者たちが語る後悔には同じものがとても多いということですが、特に死を間近に控えた人々が口にした後悔の中で多かったものトップ5は以下のようになるそうです。

1. 「自分自身に忠実に生きれば良かった」
「他人に望まれるように」ではなく、「自分らしく生きれば良かった」という後悔。Ware さんによると、これがもっとも多いそうです。人生の終わりに、達成できなかった夢がたくさんあったことに患者たちは気づくのだそう。ああしておけばよかった、という気持ちを抱えたまま世を去らなければならないことに、人は強く無念を感じるようです。

2. 「あんなに一生懸命働かなくても良かった」
男性の多くがこの後悔をするとのこと。仕事に時間を費やしすぎず、もっと家族と一緒に過ごせば良かった、と感じるのだそうです。

3. 「もっと自分の気持ちを表す勇気を持てば良かった」
世間でうまくやっていくために感情を殺していた結果、可もなく不可もない存在で終わってしまった、という無念が最後に訪れるようです。

4. 「友人関係を続けていれば良かった」
人生最後の数週間に、人は友人の本当のありがたさに気がつくのだそうです。そして、連絡が途絶えてしまったかつての友達に想いを馳せるのだとか。もっと友達との関係を大切にしておくべきだった、という後悔を覚えるようです。

5. 「自分をもっと幸せにしてあげればよかった」
「幸福は自分で選ぶもの」だと気づいていない人がとても多い、と Ware さんは指摘します。旧習やパターンに絡めとられた人生を「快適」と思ってしまったこと。変化を無意識に恐れ「選択」を避けていた人生に気づき、悔いを抱えたまま世を去っていく人が多いようです。


The Guardian 2012.2.1より