2016/04/01

人は苦しみや敗北からこそ多くを学ぶ

<首都モンテビデオから車で30分。畑のわきの小さな平屋で、ムヒカ氏は上院議員の妻と2人で暮らす。愛車は1987年製の昔懐かしいフォルクスワーゲン。自ら家事をし、畑も耕す。秋を感じる南半球の3月。トレパン姿で出てきたムヒカ氏が、庭のベンチに腰を下ろした。>

--大統領公邸には結局、引っ越さなかったそうですね。
「当たり前だよ。私はもともと農民の心を持って生まれた。自然が大好きなんだ。4階建ての豪邸で30人からの使用人に囲まれて暮らすなんて、まっぴらだ」
--アラブの富豪が、あなたの愛車に100万ドル払うと購入を申し出た噂(うわさ)を聞きました。
「本当の話だ。息子が珍しい車を集めていると言っていたな。もちろん断ったさ。あの車は友人たちからもらった大事な贈り物だ。贈り物は売り物じゃないんだよ」
--「世界で一番貧しい」という称号をどう思いますか。
「みんな誤解しているね。私が思う『貧しい人』とは、限りない欲を持ち、いくらあっても満足しない人のことだ。でも私は少しのモノで満足して生きている。質素なだけで、貧しくはない」
「モノを買うとき、人はカネで買っているように思うだろう。でも違うんだ。そのカネを稼ぐために働いた、人生という時間で買っているんだよ。生きていくには働かないといけない。でも働くだけの人生でもいけない。ちゃんと生きることが大切なんだ。たくさん買い物をした引き換えに、人生の残り時間がなくなってしまっては元も子もないだろう。簡素に生きていれば人は自由なんだよ」
--2012年にブラジルの国連会議(リオ+20)でした演説は、日本で絵本になりました。
「このまま大量消費と資源の浪費を続け、自然を攻撃していては地球がもたない、生き方から変えていこう、と言いたかったんだ。簡素な生き方は、日本人にも響くんだと思う。子どものころ、近所に日本からの農業移民がたくさんいてね。みんな勤勉で、わずかな持ち物でも満ち足りて暮らしていた。いまの日本人も同じかどうかは知らないが」

<60~70年代、ムヒカ氏は都市ゲリラ「トゥパマロス」のメンバーとなり、武装闘争に携わった。投獄4回、脱獄2回。銃撃戦で6発撃たれ、重傷を負ったこともある。>

--軍事政権下、長く投獄されていたそうですね。
「平等な社会を夢見て、私はゲリラになった。でも捕まって、14年近く収監されたんだ。うち10年ほどは軍の独房だった。長く本も読ませてもらえなかった。厳しく、つらい歳月だったよ」
「独房で眠る夜、マット1枚があるだけで私は満ち足りた。質素に生きていけるようになったのは、あの経験からだ。孤独で、何もないなかで抵抗し、生き延びた。『人はより良い世界をつくることができる』という希望がなかったら、いまの私はないね」
--刑務所が原点ですか。
「そうだ。人は苦しみや敗北からこそ多くを学ぶ。以前は見えなかったことが見えるようになるから。人生のあらゆる場面で言えることだが、大事なのは失敗に学び再び歩み始めることだ」
--独房で何が見えました?
「生きることの奇跡だ。人は独りでは生きていけない。恋人や家族、友人と過ごす時間こそが、生きるということなんだ。人生で最大の懲罰が、孤独なんだよ」
「もう一つ、ファナチシズム(熱狂)は危ないということだ。左であれ右であれ宗教であれ、狂信は必ず、異質なものへの憎しみを生む。憎しみのうえに、善きものは決して築けない。異なるものにも寛容であって初めて、人は幸せに生きることができるんだ」

<民政復帰とともに85年に釈放されたムヒカ氏は、ゲリラ仲間と政治団体を創設。89年にいまの与党、左派連合「拡大戦線」に加わった。下院、上院議員をへて昨年まで5年間、大統領を務めた。>

--有権者はあなたに何を期待したのでしょう。
「自分たちの代表を大統領に、と思ったのだろう。特に貧しい層やつつましい中間層がそうだ。特権層には好かれなかったが」
「貴族社会や封建社会に抗議し、生まれによる違いをなくした制度が民主主義だった。その原点は、私たち人間は基本的に平等だ、という理念だったはずだ。ところが、いまの世界を見回してごらん。まるで王様のように振る舞う大統領や、お前は王子様かという政治家がたくさんいる。王宮の時代に逆戻りしたかのようだ」
「私たち政治家は、世の中の大半の国民と同じ程度の暮らしを送るべきなんだ。一部特権層のような暮らしをし、自らの利益のために政治を動かし始めたら、人々は政治への信頼を失ってしまう」
--実際、既成政治への不信から米国ではトランプ旋風が起きています。代議制民主主義が機能していないとも言われます。
「いまは文明の移行期なんだ。昔の仕組みはうまく回らず、来たるべきものはまだ熟していない。だから不満が生まれる。ただ、批判ができるのもそこに自由があるからだろう。民主主義は欠陥だらけだが、これまで人が考えたなかではいい仕組みだよ」
「ドイツやスイスでも政治に不満を持つ多くの若者に出会った。市場主義に流される人生は嫌だという、たっぷり教育を受けた世代だった。米国でも、大学にはトランプ氏とは正反対の開放的で寛容な多くの学生がいる。いま希望を感じるのは彼らだね。貧乏人の意地ではなく、知性で世界を変えていこうという若者たちだ」

<かつてウルグアイは「南米のスイス」と呼ばれ、福祉国家を目指して中間層も比較的厚かった。民政移管後は格差が拡大。01年のアルゼンチン経済危機の余波も受けて不満が高まり、ムヒカ氏らの左派政権誕生につながったとされる。ムヒカ氏の退任前の支持率は65%に達した。>

--格差が広がったのは?
「次々と規制を撤廃した新自由主義経済のせいだ。市場経済は放っておくと富をますます集中させる。格差など社会に生まれた問題を解決するには、政治が介入する。公正な社会を目指す。それが政治の役割というものだ。国家には社会の強者から富を受け取り、弱者に再分配する義務がある」
「れんがみたいに、みんな同じがいいと言っているわけではないよ。懸命に働いて努力した人が、ほうびを手にするのは当然だ。ただ、いまはどうかね。働いてもいないような1人のために、大勢が汗水たらしている世の中じゃないか。これは気に入らない。富の集積にも限度がある」
「怖いのは、グローバル化が進み、世界に残酷な競争が広がっていることだ。すべてを市場とビジネスが決めて、政治の知恵が及ばない。まるで頭脳のない怪物のようなものだ。これは、まずい」
--ご自身を政治的にどう定義しますか。
「できる限り平等な社会を求めてきたから左派だろう。ただ、心の底ではアナキスト(無政府主義者)でもある。実は私は、国家をあまり信用していないんだ」
--えっ、大統領だったのに?
「もちろん国家は必要だよ。だけど、危ない。あらゆるところに官僚が手を突っ込んでくるから。彼らは失うものが何もない。リスクも冒さない。なのに、いつも決定権を握っている。だから国民は、国家というパパに何でも指図されていてはいけない。自治の力を身につけていかないと」
--日本で何をしたいですか。
「日本のいまを、よく知りたいんだ。世界がこの先どうなるのか、いま日本で起きていることのなかに未来を知る手がかりがあるように思う。経済も技術も大きな発展をとげた働き者の国だ。結局、皆さんは幸せになれたのですか、と問うてみたいな」

朝日新聞4月1日



2016/02/16

行き詰まりへの道

 安倍首相にとって発見の一つは、有権者は力強い成長を期待しているわけではなく、それを得るのに必要な混乱を伴う変化を恐れているため、公約を実現できない政治家に制裁を加えるようなことはしない、ということだ。米国、ドイツ、フランスでは有権者の怒りに訴えかけ、さらにそれを煽る政治家が混乱を生んでいるが、日本の政治は数十年来で最も安定した時期にある。
 最近の世論調査で安倍内閣の支持率は50%以上に持ち直しており、連立政権は今夏の参議院選挙で勝利を収める見込みだ。安倍首相の支持率が低下したのは、安全保障関連法の成立を強行した際だけだった。

 アベノミクスが失敗に終わっても日本経済が崩壊するわけではなく、安倍政権発足前の状態への回帰という穏やかな挫折にとどまるだろう。日本の政府債務残高 はGDP比200%以上と膨大だが、金利低下のおかげでさほど差し迫った問題ではないように思える。政府は目下、ほぼ無利息で借り入れができるばかりか、 借金をしても投資家から収入を得ることすらできるのだ。

20160212、WSJ「アベノミクス、行き詰まりへの道」より


2016/01/11

40502HC

ブラウンのクロムエクセル、コマンドソールのインディブーツ。
EpauletではInnsbruck Indy Bootsと呼ぶようだ。
クロムエクセルは確かに皺が独特で、コードバンのような雰囲気の質感がある。
トゥルーバランスも初めてだが、確かに大きい。
モディファイドラストよりさらに大きい感じがする。
ただ、ボリューム感もあって、とても履きやすい。
ハトメとフックが金色で、なかなか格好いい。
ちなみに、インディブーツでオリジナルのスタイルナンバーは405、ダークブラウンのクロムエクセルは403だが、これはなぜか40502HCになる。
Epauletではブラウン・クロムエクセルとしているからだろうか。
405に比べるとかなりダークブラウンに近い色だけれども。


2016/01/10

2424C

やや赤茶のアルパイングレインのNSTで、コマンドソールのもの。
Unionmadeで同じ型のブーツを売っているが、そのローカットモデルになるのだろうか。
Epauletに随分前からあったが、雪が降っても履けるNSTのものを一つ欲しかったので、思い切って買ってしまった。
アルパイングレインは無骨でやや固い感じだが、カントリーグレインほど網目が目立たない。
ステッチが美しく、バリーラストなので歩きやすい。
カジュアルだが、履く度に「意外といいな」と思える靴だ。
この後に買ったアバディーンラストの4039Cと比べると、バリーラストのNSTはバンプのステッチが外側に張り出していて、トゥのステッチが短いことがよく分かる。
甲がやや低めで、平べったい印象だ。
どちらがいいかは好みだろう。


2016/01/09

4039C

#8のNSTブーツでコマンドソール。アバディーンラストは954に続いて2足目になる。
細めで少しきついかなとも思っていたが、954以上にジャストフィットだった。
トゥはシャープな形だが、ワイズはDでもしっかり幅がある。
トゥルーバランスやバリーラストのNSTに比べて、トゥのステッチが長めで、存在感を増しているように思う。
関税を2万円も取られてしまったのが残念だが、なかなか買える機会もないだろうから、仕方ないと思おう。
これでAlden収集も終わりだろうか。
転勤すれば履ける機会も随分減るだろう。



2015/11/30

幸福の七カ条

第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
第二条 しないではいられないことをし続けなさい。
第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
第四条 好きの力を信じる。
第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
第六条 怠け者になりなさい。
第七条 目に見えない世界を信じる。

水木サンの幸福論(日本経済新聞社)より

2015/11/05

This Love

Clear blue water, high tide came and brought you in
And I could go on and on, on and on, and I will
Skies grew darker, currents swept you out again
And you were just gone and gone, gone and gone
In silent screams
In wildest dreams
I never dreamed of this
This love is good, this love is bad
This love is alive back from the dead
These hands had to let it go free
And this love came back to me
Tossing, turning, struggled through the night with someone new
And I could go on and on, on and on
Lantern burning, flickered in my mind for only you
But you're still gone, gone, gone
Been losing grip
Oh, sinking ships
You showed up just in time
This love is good, this love is bad
This love is alive back from the dead
These hands had to let it go free
And this love came back to me
This love left a permanent mark
This love is glowing in the dark
These hands had to let it go free
And this love came back to me
This love, this love, this love, this love...
Your kiss, my cheek, I watched you leave
Your smile, my ghost, I fell to my knees
When you're young you just run
But you come back to what you need
This love is good, this love is bad
This love is alive back from the dead
These hands had to let it go free
And this love came back to me
This love left a permanent mark
This love is glowing in the dark
These hands had to let it go free
And this love came back to me
This love, this love, this love, this love

Taylor Swift "This Love"

2015/10/15

末路哀れは覚悟の前やで

落語は現世肯定の芸であります。
大きなことは望まない。泣いたり笑ったりしながら、一日一日が無事にすぎて、なんとか子や孫が育って自分はとしよりになって、やがて死ぬんだ…それでいい、というような芸です。
その基盤とするのはごく普通の「常識」、これであると思います。

わたしがむかし、師匠米団治から言われた言葉を最後に記します。
『芸人は、米一粒、釘一本もよう作らんくせに、酒が良えの悪いのと言うて、好きな芸をやって一生を送るもんやさかいに、むさぼってはいかん。ねうちは世間がきめてくれる。ただ一生懸命に芸をみがく以外に、世間へのお返しの途はない。また、芸人になった以上、末路哀れは覚悟の前やで』

桂米朝「落語と私」より


2015/09/12

#8

ほぼ1カ月ぶりに晴れたので、ようやく954を履けた。
踵回りは緩いが、軽くて歩きやすい。
975と並べてみた。
こうしてみると同じ#8でもずいぶん違うものだ。



2015/09/05

954

つい最近までは、モンクなんてバブルっぽい、と全く関心がなかったのだが。10年前に54321を買ったナトリヤさんのブログで、954のエイジングを見ていたら、こういうのもいいな、と思ってきた。
白いクルマといい、好みというものは変わるものだ。
未使用品を安く買えたのだが、関税がフルにかかってしまい、少し残念。
ウェブ上の写真では、試し履き時の皺が目立っていたけれど、実際はそうでもなかった。
たぶんだいぶ売れていなかったのだろうと、到着後、#8の純正ブーツクリームを塗ったが、コロニルのローションで良かったのかもしれない。
アバディーンラストは初めてだったが、そんなに窮屈でもない。
レースの部分がないだけ、990よりもプレーントゥぶりがより強調されるような気もする。
到着後、1週間以上たつけれども、毎日雨まじりの天気でまだ履けていない。
いい履き皺が入ればいいなと思うが、自分は左右の足の甲の高さが結構違うので、どうなるか。
いかにもつけました、というような平行の皺が入っていないのも、自分らしさかもしれないが。





2015/08/02

975

990とはまた対極にあるオールデンらしいモデルだろう。飾りがたくさんついているが、トゥがすっきりしていて、990よりむしろシャープな形にみえる。
ところで975は国内のネット専門店を通じて買った。
円安にもかかわらず、結局はサンフランシスコのオールデンショップ直送より安く買えたのだが、このお店、とにかく対応が遅く、ハラハラドキドキさせてくれた。
まず取り寄せの可否をメールで尋ねたのだが、返信があったのは4日後。
それも注文(入金は在庫確保後)を受けてから現地に問い合わせるとのことだった。
そして在庫確保の連絡があったのが7日後。
お届けまで4週間みてくれとのことだった。
それからは現地商品到着とか発送の連絡は一切なく、4週間後にいきなり自宅に届いた。
関税はもちろん取られた。
990の時のように消費税?まで取られなかったのは良かったが。
関税返金要請のメールを出したら、領収書を送って口座を連絡してくれとメールが来たのがその4日後。
準備していたのでその日夜に早速、口座番号のメモを同封して送ったが、1週間音沙汰なし。
確認のメールを送ったら、その日の返信が来て、再度口座を教えてくれと。
実際に返金されたのは領収書を送ってから2週間後だった。
商品は完全で、関税まで返してくれたのだから、何の問題もなく、ありがたかったのだが、以前に利用した別のショップはまめに連絡してくれて返金も早かったので、対照的だった。
ちなみにこのお店、自分の注文後、すぐに975の価格を値上げしたようだ。
円安になって個人輸入の旨味は減ったけれど、海外取り寄せの国内ショップも値付けが大変だろうな、と思った次第。


2015/04/20

堀江貴文「人生の質を上げるために僕がやめた3つのこと」

1・家に住むことをやめた
「刑務所から出てきたらマンションの賃貸契約を拒まれたりして、非常に不愉快な思いをしたので『もう、家なんていらねぇよ』と。保証金を寝かすのもバカバカしいし。以来ずっとホテル暮らしですが、快適ですよ。余計なモノは全部手放したので、本当に身軽」

2・物欲を持つことをやめた
「モノを手放していくと物欲がどんどん薄れた。ないと困るのはスマホくらい。とはいえ、必要なデータ類はクラウドに入れてあるから、最悪、端末も誰かに借りればいい。近年、カーシェアなどが普及し、所有からシェアへと世間の意識が変わってきたのはいい傾向」

3・電話をやめた
「最近、本当に会いたい人にしか会わないよう努めています。準備や移動などに伴う時間的なロスが許せなくて。電話も然り。一方的に僕の時間を奪っていくから、基本的に出ません。時間あたりの効率を極限まで上げないと、やりたいことが全部こなせないので」

Web Goetheより

2015/04/17

日本≒ハンガリー?

 日本ではほとんど知られていないのですが、欧州ではハンガリーがすごく危険視されています。新しく制定された「ハンガリー基本法」が非常に人種差別的で排外的な要素を含んでいる。それでユーロ圏に入れてもらえず、ハンガリーの通貨フォリントの価値が下がって、ブダペストは観光客があふれているのです。どこの国かって思うでしょう(笑い)。
 ハンガリーと日本はものすごく似ています。オーストリア・ハンガリー帝国が成立したのが、明治維新とほぼ同時期。その後も似たような歴史を歩んできて、ハンガリーは第2次大戦で敗戦した後、ソビエトの押し付けで憲法を変えた。そして、ソビエト崩壊で東欧が解放された時に唯一、東欧諸国で憲法を変えなかった。ソビエトが定めた憲法を部分改正して、新しい民主的な憲法にしたんです。ただ、その憲法は非常にいい憲法だったけど「自主憲法」ではなかった。そして数年前、ある民主的な政権ができたけれど、経済政策の失敗とスキャンダルで崩壊してしまって、その後にできた国家主義的な政権が、一気に新憲法をつくっちゃった。それがハンガリー基本法です。欧州の政治家はハンガリーのことが念頭にあるので、安倍政権も同様に非常に危険視しているわけです。

(日刊ゲンダイ 平田オリザ「異議唱えなければファシズム広がる」より)

2015/04/01

私が42年間の中で、最も後悔していること

みなさん卒業おめでとうございます。
ここまでよくがんばりましたね。
さて突然ですが、歳をとってから、私はよく、「人生を振り返ってみて後悔することはなに?」と聞かれるんです。
私は、何を後悔しているだろうか?
お金を貯めてこなかったことだろうか?
これは後悔してない。
スマトラの川で裸で泳いでいて、なんだか騒がしいなと思って見上げたら、パイプの上に300匹ほどの猿がすわって川にむかってうんちをしているのを見てしまったことだろうか?
しかも、私がおもいっきり口をあけて、飲んでしまったから、その後病気になり、7カ月間もずっと具合が悪くなってしまったのだ。
その時のことでもない。
度々あった、恥ずかしい出来事だろうか?
例えばホッケーの試合で、好きな子の前でドジをして、嫌われてしまったことだろうか?
いや、これすらも私は後悔していない。

私が一番後悔していることは、これだ。
7年生だったとき(日本の中学1年生)、1人の転校生が来た。
個人の秘密のためにこのスピーチでは彼女のことをエレンと呼ぶことにしよう。
エレンは小さくてシャイな子だった。
彼女は、当時は年取ったおばあちゃんしか使わなかったような、メガネをかけていた。
緊張すると、自分の髪の毛を噛むクセがあった。
そんな彼女は、周りからいじめられていた。
彼女が傷ついているのが目に見えてわかっていた。
彼女の表情をいまでも思い出すことができる。
彼女はできるだけ透明になろうとしていた。
少しすると彼女は一人でいるようになった。
そして、彼女は、引っ越した。
それでおしまい。
なんの悲劇もドラマもなし。
彼女はある日突然やってきて、それで突然いなくなった。
それで話はおしまいだ。
さて、なぜ私はこれを後悔しているのか?
42年もたった今、なぜ私はまだ彼女のことを考えているのか?
他の子たちと比べて、私は彼女にやさしい方だった。
彼女にひどいことは一切言わなかった。
実際、ときには(温和に)彼女を守ることさえした。
それでも、人生の中で最も後悔しているのだ。

■ 見て見ぬフリをして、親切にしなかったこと

私が人生で最も後悔していることは、親切になれなかったことだ。
少し安易に聞こえるかもしれないし、実行するには難しいかもしれないけど、人にやさしくなるというのを人生のゴールにしてみてはいかがだろうか。
ここで一つ、大事な質問をしたい。
どうして私たちは、優しくないんだろう?
わたしたちの何がいけないのだろう?
私の答えは3つある。
(1) 私たちは宇宙の中心であると思っているから(つまり自分の個人的な話が一番大事でおもしろくて、自分の人生のことしか考えていない)。
(2) 私と私以外のものは、切り離されていて、別のものになってしまっていること。
(3) 私たちは永久に生きると思っている。(死は本物だが、まだ自分には関係ないと思っている)。
私たちは、知らず知らずに人の欲求よりも自分の欲求を満たそうとする。
もっともっとやさしい人になりたいにもかかわらず、そうしてしまうのだ。

■ 歳をとるにつれて、ほとんどが愛に変わった

さあ、ここでもう一つ、大事な質問をしたい。
どうやったらもっとやさしい人になれるのか?
これに対する答えは、やさしさは年をとることで、自然に身につくものだと思っている。
私たちが年をとるにつれて、自分勝手でいることがどれだけ無意味なのか、実際にどれだけ非論理的なのかに気がつくのだ。
自分の身近で大事な人たちがいつのまにか立ち去っていってしまっているのに気がついて、それでいつの日か自分もそうやって立ち去っていくんだろうな、ということを徐々に自覚し始める。
ほとんどの人は年をかさねていくごとに、自分勝手でなくなり、人を愛するようになる。
シラキュース(アメリカ)の偉大な詩人、ヘイデン・クルース(Hayden Carruth)は彼の人生の最後のほうに書いた詩のなかでこう言った。
「人生の最後は、ほとんど愛になった」と。
私が皆さんにしたい心からのお願いです。
年をとるにつれて、あなたの自身の存在は減っていき、愛に生きていくようになるでしょう。
あなたという人が、徐々に愛によって置き換えられていくのだ。
子供をもつことになったら、自分に何が起こるのかなんて気にしなくなるものだ。

■ 成功にこだわらず、たくさんのことに挑戦する

私たちは誰だって、若いときは不安でいっぱい。
成功できるのか?
自分で人生をつくり上げていくことができるのか?
高校でいい成績をとるのは、いい大学に入ろうと思うから。
それでいい大学でいい成績をとれば、いい仕事につけるだろう。
そしたら仕事でいい成果をだして・・・と続いていく。
別にこれは悪いことじゃない。
我々がもっとやさしくなっていくのだったら、その過程にはなにかを実際にやる人として、成し遂げる人として、夢見る人として、自分と真剣に向き合う時間がないといけない。
成功の定義は絶え間なく変わっていきます。
成功というのは、ハイキングをするにつれて、山がもっと大きくなっているようなもの。
自分で考える目標ではなく、成功とは他人からの評価なので、それには限りがないのだ。
そして知らない間に「成功すること」に私たちの人生すべてが食い尽くされてしまう。
成功の定義は絶え間なく変わっていくけれど、人にやさしくしていくことは変わらない。

■ やさしさを見つける、旅に出よう

スピーチの締めとしての、最後のアドバイスをしたい。
私が先ほど述べた通り、あなたの人生は徐々に親切でやさしい人になるのだから、急ぎなさい。
スピードアップするのだ。
いまこの瞬間から始めて欲しい。
私たちは誰でも、最初は自分勝手だ。
少し必死に、自分自身の患者になってみるといい。
これから先の人生を、活力を持ってやさしさをみつける旅に飛び出してほしい。
そのためにはたくさんのことをすること。
野心のあること、旅、金持ちになる、有名になる、革新する、リーダーになる、恋に落ちる、富豪になってそれからどん底に落ちる、ジャングルの川で野生的に裸で泳いでみる(猿のうんちの味を確かめてみないとね)。
さまざまなことに挑戦し、そして失敗してさまざまな人と関わることで、やさしさをスピードアップすることができる。
そしていつの日か、これから80年後とか、あなたは100歳で私は134歳。
で、私たちはもうほとんどお互いに耐えきれないほどどちらもすごくやさしくなったら連絡してくださいね。
あなたが「私の人生はものすごくいいものだったし、いいものだよ」と言ってくれていることを願う。
最高の人生を生きて、みなさんがやさしい人になれることを望みたい。
今日は、ありがとうございました。

<シラキュース大学2013年卒業式での作家ジョージ・サンダースさんスピーチより>



2015/02/11

送別会

これまで何度も送別会というものに出席してきたが、その度に、自分とは本当に何もない人間なのだな、と痛感させられる。
語る言葉も、語られる言葉もない。
ずっとこれで良しとしてきて、これからも変えられないが、送別会に出てみると、やっぱり少し寂しいものだ。
送別会ばかりでなく、運動会でも、文化祭でも、ちょっとした飲み会でも、いつもそうだった。
時々、高校時代のバスケットボールのあの試合を思い出す。
あれが自分という人間の限界。
振り返れば何もない。
すべて自業自得なのだけれど。


2014/12/12

今年の漢字

「税」とのこと。
ツイッターで今年一番面白かった写真もこれだったなあ。


2014/11/07

990

そして990。
1339もそうだが、バリーラストはモディファイドに比べて、前後と左右が少なくともハーフサイズは大きいのは本当だ。
ただ、甲の高さはモディとそれほど変わらない印象。
本当にシンプルで、のっぺりしていて、ジョンロブなんかの洗練とは対極にあるデザインだが、やっぱりVチップより990や1339の方がaldenらしい気がする。
ウイスキーもいいけれど、コードバンはやっぱり#8がいいかな。
#8は54321、986、1339、990の4つとなった。
雨が降らない日はなるべく履こうと思う。



2014/11/03

1339

この数カ月間にAldenを3足買ってしまった。
1足目は986。2足目は1339。
チャカはAlfred SargentのスエードのBexhillと2つになった。
7、8年前にUAでチャカを買ったこともあったが、午後になると右の甲まわりがパンパンで痛くて履けたものではなく、処分してしまった。
その経験があったので、某店で1341を試し履きしたら、8dで大丈夫だった。
バリーラストのダブルレザーソールだが、そんなにソールも固くなく、履きやすい。
といってもまだ1回しか履いていないので、いろいろ問題が出てくるのは、これからかもしれないが。
プレーントゥでのっぺりした形だが、やっぱり味わいのある雰囲気で、Aldenらしい。
数年前はプレーントゥなんてと思っていたが、Sedgemoorのように、最近は何のステッチも飾りもない方が好ましくなった。
やはり齢か。
クルマも白が良くなったし。




2014/10/24

a summer's day

君を夏の日にたとえようか。
いや、君の方がずっと美しく、おだやかだ。
荒々しい風は五月のいじらしい蕾をいじめるし、
なりよりも夏はあまりにあっけなく去っていく。
時に天なる瞳はあまりに暑く輝き、
かと思うとその黄金の顔はしばしば曇る。
どんなに美しいものもいつかその美をはぎ取られるのが宿命、
偶然によるか、自然の摂理によるかの違いはあっても。
でも、君の永遠の夏を色あせたりはさせない、
もちろん君の美しさはいつまでも君のものだ、
まして死神に君がその影の中でさまよっているなんて自慢話をさせてたまるか、
永遠の詩の中で君は時そのものへと熟しているのだから。
ひとが息をし、目がものを見るかぎり、
この詩は生き、君にいのちを与えつづける。

Shall I compare thee to a summer's day?
Thou art more lovely and more temperate:
Rough winds do shake the darling buds of May,
And summer's lease hath all too short a date:
Sometime too hot the eye of heaven shines,
And often is his gold complexion dimmed,
And every fair from fair sometime declines,
By chance, or nature's changing course untrimmed:
But thy eternal summer shall not fade,
Nor lose possession of that fair thou ow'st,
Nor shall death brag thou wand'rest in his shade,
When in eternal lines to time thou grow'st,
So long as men can breathe or eyes can see,
So long lives this, and this gives life to thee.

The Sonnets No.18
William Shakespeare
戸所宏之訳



2014/10/13

sedgemoor

きっかけは覚えていないが、数年ぶりに靴欲が湧き出てしまっている。
先日のalden 986に続き、今度はcrockett&jonesの靴を買ってしまった。
プレーントゥ、ウイスキーコードバンのsedgemoor。
ホーウィン社のコードバンといえばaldenだが、crockett&jonesも結構出していて、このsedgemoorもその一つ。
aldenのコードバンモデルでは、#8でさえ品薄気味だから、ウイスキーの新品を日本で買うのは現在ほぼ不可能だろう。
アメリカのショップサイトでも新品は見たことがない。
ちょうどaldenの名作プレーントゥの990を探していたところ、同じプレーントゥでホーウィン社のウイスキーもなかなかチャンスがないだろうということで、ほぼ12万円!の定価で買ってしまった。
恥ずかしながら自分の靴の最高額である。
ソールはダイナイト。
sedgemoorのコードバンはcrockett&jonesの公式サイトには載っていないので、もう廃番になったのだろうか。
注文翌日に早々と到着し、箱を開けると、意外とトゥにボリュームのある形であることに気がつく。
ライニングにある番号は手書き。
ソールにはハンドグレードではないcrockett&jonesのロゴとgenuine cordovanの金文字が美しい。
コードバンは右足の方にやや色むらがあった。
ウイスキーはやっぱり#8とは全く違う。
一言でいうとコードバンらしくない。
自分が持っている#8と比べると、やや傷がつきやすいような気がするが、まだ3回程度しか履いていないので、評価はこれからだろうか。
今後、どう変化していくか、楽しみだ。