2013/02/20

デフレーション

いま人気になっている本を読んだ。
先進国の中で日本だけがデフレに陥った根本的な原因は、1998年から続く名目賃金の低下。
欧米はずっと上がっているのに日本だけが下がり続けている。
欧米の企業は業績が悪くなるとレイオフして賃金水準を維持するのに対し、日本は労使協調で「賃金より雇用」を選び、ユニットレイバーコストが中国に近づいているためだ。
その悪影響を若年層と非正規労働者が受け、世代間格差が広がっている。
また日本企業は画期的な製品を生み出すプロダクト・イノベーションを起こせず、低コストで生産するプロセス・イノベーションばかりを進めてきた。
安倍政権やブレーンの浜田氏が主張する大胆な金融緩和でインフレ期待を起こしデフレから脱却するのは不可能であり、生産人口減少論もデフレの要因ではない、としている。
名目賃金を上げるためには、日本も米国流の労働慣行にするしかないのか。
自分のような中高年が既得権益層となっているということなのだろう。
将来の社会保障に全く期待が持てないことも大きいのではないだろうか。
老い先が厳しいとなれば、少し給料が増えても誰もおカネを使おうとしない。
オバゼキ先生も言っているように、アベノミクスの末路は資産バブルなのだろう。
歴史は20年でもう繰り返してしまうということなのか。
徳川家の末裔の人が書いた「2016年に日本経済崩壊」という話が、なにやら少しずつ冗談ではなくなってきたようだ。

2013/02/18

欧州経済

日本記者クラブでの浜矩子同志社大教授の講演から。
欧州経済の3つのポイント。
1)ECBからECBへ。
欧州中央銀行から欧州カタストロフィ銀行化するという意味。
ギリシャやスペインの国債引き受けは通貨の番人たる中央銀行の責務放棄だと指摘。
2)PEからPGへ。
ドイツの派遣を阻止する汎ヨーロッパ主義(PE)を目指して発足したEUが、ユーロの導入で日に日にパックス・ゲルマニカ(PG)の様相を強めているとのこと。
3)SCからMC、それがいやならDLへ
ユーロという単一通貨(シングルカレンシー、SC)は持ちこたえられず、昔の多通貨(マルチカレンシー、MC)体制への回帰を迫られている。それがいやならメジャーリーグとマイナーリーグに分ける複数リーグ(デュアルリーグ、DL)制を採用せざるを得ない、とのこと。
グッチーさんも言うように、やはりユーロに未来はないのか。