- ジャレッド・ダイアモンドは、西欧の発展について、そこに住む民族の能力が他より優れていたから起こっていたのではなく、単にたまたま地の利がよかったことと、農業を可能にする動物・植物が、その地域にまとまって生息していただけのことであり、文明は、わずかの決断の誤りによって、もろくも崩壊すると見抜いてみせた。
- トム・レイトンは、数学者でありながら、自らの理論を実践すべく、インターネットという大海に漕ぎ出し、数学と数式を弓矢に、情報産業という無法地帯で繰り広げられる大戦闘に挑み、インターネットのインフラを一手に引き受けている。
- 人生は出会いが全てかもしれない。人や動物と出会い、色彩や音楽や一文との出会い。全くこの世で生きるのは難儀だが、たとえわずかでも強く心に残る出会いがあれば、それでけっこうやっていけるような気もする。
- 生きていくこと自体がその人独自のアートなのだろう。もって生まれた遺伝子と、環境すなわち出会いがそのアートをつむいでいく。
- 「人生に意味などというものはない。われわれはただ存在するというだけのこと」と言い切るダイヤモンド。
- オリバー・サックスは、教育における最も大事なことは先生と生徒のポジティブな関係であり、教えている内容への先生の情熱だという。また、「音楽は言語より先に脳に入り、言語よりも長く脳に残る」と言われるほど、音楽の力にはめざましいものがあるようで、音楽に合わせてダンスできるのは人間だけなんだと。本当にジャズのように、あっちへ行きこっちへ行き、それでいて全体としてあたたかく心地よい。
- インターネットのサーチをする際、コンピュータがやっているのは、ユーザーが入力した単語の出てくるサイトや文章を拾ってくるということだけで、単語どうしの関係性は全く理解していないとマービン・ミンスキーは指摘している。
- ジェームズ・ワトソンは、革新的なアイデアはおしなべて個人から出てくるので、個人が大切にされる組織や社会でないと発展は望めないという。気配りばかりでがんじがらめにならず、個人の違いを認めあおうじゃないかと。
- インターネットを介して得られる情報は、実際に人に会って得られる情報にはとてもかなわない。こうして面と向かって話すほうがはるかにインパクトがある。ネットを通じた情報の流れよりも、移民と観光による実際の人の流れのほうが、社会へのインパクトが大きい。
- アルゼンチンの作家ボルヘスは「本は民族の記憶である」と言っている。
吉成真由美『知の逆転』より

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