日本ではほとんど知られていないのですが、欧州ではハンガリーがすごく危険視されています。新しく制定された「ハンガリー基本法」が非常に人種差別的で排外的な要素を含んでいる。それでユーロ圏に入れてもらえず、ハンガリーの通貨フォリントの価値が下がって、ブダペストは観光客があふれているのです。どこの国かって思うでしょう(笑い)。
ハンガリーと日本はものすごく似ています。オーストリア・ハンガリー帝国が成立したのが、明治維新とほぼ同時期。その後も似たような歴史を歩んできて、ハンガリーは第2次大戦で敗戦した後、ソビエトの押し付けで憲法を変えた。そして、ソビエト崩壊で東欧が解放された時に唯一、東欧諸国で憲法を変えなかった。ソビエトが定めた憲法を部分改正して、新しい民主的な憲法にしたんです。ただ、その憲法は非常にいい憲法だったけど「自主憲法」ではなかった。そして数年前、ある民主的な政権ができたけれど、経済政策の失敗とスキャンダルで崩壊してしまって、その後にできた国家主義的な政権が、一気に新憲法をつくっちゃった。それがハンガリー基本法です。欧州の政治家はハンガリーのことが念頭にあるので、安倍政権も同様に非常に危険視しているわけです。
(日刊ゲンダイ 平田オリザ「異議唱えなければファシズム広がる」より)
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